傾聴を心がけているものの、
それだけでは相手の役に立っていないと思ってしまうのですね。
何か気の利いたアドバイスをしなければいけないと思われるお気持ち、
私自身も経験があります。
傾聴だけでは、何かこう「役に立った」という
手応えのようなものが得られにくいものなのかもしれませんね。
ただ、これだけははっきりと言えることですが、
「話を聴いてもらう」だけで、
多くの罹患者の方は有り難いと思っているものです。
何より、長年心理カウンセラーに話を聴いてもらっていた
私自身そう感じていました。
心理カウンセラーは基本がんに対する専門的な知識は持っていませんし
(中には持っている方もいらっしゃいますが)、
私もそれを望んではいません。
ただただ、できるだけ私の心境に立って私の話を聴き、
時に共感してくれるだけで、
私は一人ではないと感じることができましたし、
想いを吐き出すことで頭の整理をすることもできました。
Mさんの相手の方はいかがでしょうか。
Mさんに専門的なアドバイスを求めているのでしょうか。
もし求めているのだとしたら、
それはその期待に応える必要があるかもしれません。
でも、そうではない場合は、
「話を聴く」ということこそが、
相手の方にとって最も嬉しいことのひとつであると
考えてみてはいかがでしょうか。
(了)
回答者:花木裕介(一般社団法人がんチャレンジャー 代表理事)