寄り添うと聞くと、どうしても
何らかのコミュニケーションを図ることを
イメージしがちかと思います。
私自身も実際そう思っていました。
でも、そうではないことにある方の体験談から
学ばせていただきました。
その方(仮にAさんとします)は、
ご主人を亡くされたのですが、そんなお辛い状況の中、
Aさんは知人にその事実を伝えたそうです。
そのとき、知人の方は、声をかけるでもなく、
ただただAさんの背中をさすってくれたのだそうです。
背中から知人の温かい手のぬくもりが伝わってきて、
Aさんはとてもうれしく、温かい気持ちになったそうです。
きっと知人の方の言葉にならない想いが、
背中から伝わってきたのでしょう。
別の方(仮にBさんとします)は、
友人にがんに罹患した話をした際、
感極まって思わず涙してしまったそうです。
Bさんが顔を上げると、友人が無言で一緒に泣いてくれていたそうです。
その涙は、同情や同調ではなく、
あくまでもがんに罹患した
Bさんの気持ちに共感してくれた涙だと感じ、
理解者を得た気持ちになったそうです。
このように、声をかけたり、
コミュニケーションを交わしたりするだけでなく、
何か力になりたいという姿勢や気持ちが根本にあれば、
寄り添うことにつながるのではないでしょうか。
少なくとも、気持ちのこもっていない励ましや
罹患者の気持ちを無視した一方的なかかわりの何倍もの力が、
こうしたかかわりにはあるのではないかと私は思います。
(了)
回答者:花木裕介(一般社団法人がんチャレンジャー 代表理事)